リーダーシップの歴史(後編)
本日3回目のテーマは、「リーダーシップの歴史(後編)」をみていきたいと思います。
前回第2回目では、「リーダーシップの歴史(前編)」を皆さんには深化していただきました。簡単にまとめると、
- リーダーの「個性(Trait)」の理論 (1940~)
- リーダーの「行動(Behavior)」の理論 (1960~ )
- コンティンジェンシー理論 (1960・70~)
- リーダー・メンバー・エクスチェンジ(LMX) (1970・80~)
このような流れで2000年前までは推移してきたことがわかるかと思います。
そして本日、「リーダーシップの歴史(後編)」では二つの大きなリーダーシップの波をご紹介していきたいと思います。
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- トランスフォーメーショナル・リーダーシップ(1980・90~) バーナード・バス
このリーダーシップの形は、「今私たちが典型的なリーダー像として考える人は?」という問いに対して出て来る人物像です。つまりこのころの理論が今の多くのリーダー像を示しているのです。
トランスフォーメーショナル・リーダシップ(TFL)×トランザクショナル・リーダーシップ(TSL)
まずはTSL理論から説明していきます。TSL理論とは、メンバーを考察し、自己意思を重んじる心理的な取引・交換として向き合うことができるリーダーシップの形です。
「管理」の側面を有しますが、状況に応じたフレキシブルな報酬、例外的な管理を可能にしています。したがって、やり方が違っても成果を上げていれば直接的な指示は避ける傾向にあるスタイルで、今までのパワープレーなリーダーとは異なります。
TSLは質の高いLMX(リーダー・メンバー・エクスチェンジ)ということもできそうですが、両者の違いは、LMXは関係性を対象、TSLはリーダーシップのスタイルにフォーカスしている点が異なります。
次にTFL理論を見ていきましょう。TFLとはビジョンと啓蒙にフォーカスしたリーダーシップの形です。TFL理論で共通して見られる3つのキーワードがあります。それはカリスマ・知的刺激・個人重視です。
<カリスマ>
組織のビジョンが明確かつ魅力的でメンバーのビジョンにもかなっていることを説くことで、プライド・忠誠心・敬意を植え付ける。
<知的刺激>
メンバーの新しい着眼点を推奨し、メンバーの知的好奇心を湧き立たせる。
<個人重視>
コーチングや教育を行い、個別に向き合うという、学習による成長を重視する。
このTSLとTFLは相互補完関係にあります。(定量化:Multifactor Leadership Questionnaire)結果としてはTFLがリーダーシップとの関係性が強く、今後も注目すべき理論であることは確かですが、今のリーダーシップを発揮している人を見れば両者がバランスよくできている人物が多いのではないかと見受けられます。
このようなリーダーシップが重宝されてきた背景は、先進国を中心に物質的な欲求を満たされた人間は、より精神的な豊かさを求めるようになりました。またビジネスの不確実性により、単なる将来予測は意味をなさず、「将来はこうしたい」と明確なビジョンを掲げ、啓蒙することの方が支持される時代だったからです。
- シェアード・リーダーシップ (2000~)
もっとも新しい理論とされてるのが、このシェアード・リーダーシップ(SL理論)の形です。従来のリーダーシップ理論は、グループにおける特定の一人がリーダーシップを執るという形が常でした。しかしSL理論ではグループ内の複数人、時には全員がリーダーシップを執ることが重要であると考えられています。
現在のビジネスにおいて、新しい知を生み出すことが重要(新しい知=既知の知×既知の知)とされている中で、一人のリーダーが全てを生み出したり、網羅したり、解決したりすることは不可能です。
そこで全員がリーダーシップを発揮する必要性があれば当事者意識を生み、積極的に知の交換が行われると考えられた結果です。
この考えられ方はP&Gのリーダーシップ理論でも同じことが言われています。彼らは「入社したその日からリーダーシップを発揮することを求める」と言います。つまりリーダーシップは立場から来るものではなく、個々の行動から来るものであると定義づけているのです。
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第4弾は「これからのリーダーシップを考える」をみていきたい思います。前回と今回をみていただいて、リーダーシップがどのように変遷してきたのかをご理解いただけたのではないでしょうか?
それでは次のステップに進んでいきましょう!!それは「これからはどんなリーダーシップの形が求められているのか?」といった課題です。
すでに一部の企業では一歩先のリーダーシップが進められているところがありますが、未だほとんどの会社が旧式のリーダーシップ像で動いています。しかしすでに大きく時代が動いている中で、私たちのリーダーシップのスタイルもアップデートしていかなくてはいけません。そのスタイルを次回では見ていきましょう。
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