267、日本のお菓子会社はアメリカの市場に割って入ることができるのか

 

こんにちは。くらもとたいしです。

 

スマートフォンが従来の携帯電話から取って代わった理由はなんでしょうか?それは携帯電話がメールや通話ができるといったツールからコンセプトマインドシフトが成功したからです。世界を変えるためにはスマートフォンが必要という認識に浸透したともいうことができます。

このようにプロダクトが市場に浸透するときにはそのプロダクト自体をアピールしていては、一時的なブームはくるかもしれませんが浸透はしていきません。プロダクトを浸透せさせるにはそれだけの説得力を持ったコンセプトを発信し、それを満たすものとしてプロダクトを発売するといった方法が今のマーケットでは求められているのです。

それでは見ていきましょう!!

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【日本のお菓子会社はアメリカの市場に割って入ることができるのか】

 

「チートス買って!チートス買って!」日本人を両親にもつ、アメリカで生まれたその女の子はスーパーでアメリカのお菓子を買ってとお願いしています。

彼女の父親は複雑そうな顔をしていました。なぜなら彼は日本の『おかき』をアメリカの市場に普及させるために、日本の会社からアメリカに赴任してきたのです。今日は家族揃って日用品の買い物がてら、彼らのおかきがスーパーでどのように売られているのかを見にきていました。

彼がこっちにきて6年が経とうとしています。しかしスーパーで見つけたおかきの売り場はアジアンコーナーの片隅に少量置かれているのみでした。赴任当初は日本のおかきをアメリカ中に認知させることのできる機会、そして彼の会社の成長に貢献できる機会と思い、意気揚々とアメリカに乗り込んできました。

しかし現実は甘くありません。ビジネスの進捗でいうと毎年2%の売上増に留まっています。元のスケールの小ささを考えれば、おかきがアメリカで広がっているとは到底いうことのできない状況です。

 

彼のメインターゲットはスーパーです。しかし売上のみを高めることが目的ではないので、いくらアジア専用のスーパーマーケットで需要を伸ばしても意味がありません。地元のスーパーマーケットにてシェアをとらなければいけなかったのです。

彼は西アメリカ中のスーパーを走り回り、おかき売り場のコーナーの拡大や位置の変更を交渉してきました。しかしスーパー側からは需要がなければ良い位置に商品を移すことはできない。移したり、拡大したければ需要を先に高めてからでないと話にならないと言われていました。

確かにおかきは美味しくて、グルテンフリーで健康的であるという強みはあったのですが、認知度を高めることに成功していません。一方サルサはメキシコが発祥ではあるけども、すでにアメリカでもお菓子の一部になっているため良い位置に商品をおくことができています。

おかきはあくまでもニッチマーケットしての認識です。ある担当者からはおかきはあくまでも日本のお菓子で、アメリカで普及するように作られたお菓子ではないとまで言われました。

 

そこで彼は考えました。なぜ他の日本の食べ物は広がっているのに、おかきはダメなのだろうかとです。例えば緑茶やわさびなどを考えて見ましょう。これらは明らかに日本の食べ物です。しかしこれらは日本だけでなくアメリカの人たちにも受け入れられているのです。

違いはなんでしょうか?認知度です。これらはまずはじめに文化として認知されていき、そこに食品として緑茶やわさび、特にわさびは寿司という強力なサポーターとともに浸透していきました。つまりおかきも文化的なことを含めたバックグラウンドから提案していかなければいけません。日本人はおかきと生活がどのように重なり合い、かつ文化的な役割を持っていたのか?などを考えていかなければいけません。

 

商品はモノが良いだけ必ずしも成功するわけではありません。なぜこのおかきがアメリカで浸透していく必要があるのかを背景から語らなくてはいけません。誰もその商品が美味しいからといった理由だけでアメリカの市場に根付かせることは難しいでしょう。

方法は消費者の感覚にロジカルに訴えかけるのです。消費者はその商品が欲しいから買うのではなく、自分の生活の一部として必要であるから買うといったプロセスに持っていかなければ、ニッチマーケットから抜け出すことは難しいでしょう。

ありがとうございました。

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