モチベーションの歴史(後編)

 

本日第4回目のテーマは前回のモチベーションの歴史(前編)に引き続き、モチベーションの歴史(後編)について考えてみたいと思います。前回モチベーションの初期にして基本的な考え方である、ニーズ理論・職務特性理論について説明しました。

しかしニーズ・職務特性理論では一定の説得力はあるもののモチベーションのメカニズム全体を説明するものではないとも言われています。そしてこの時代と同時に新たなモチベーションの理論が誕生します。

 

もちろん上記2つの理論もモチベーションを語る上で非常に重要な要素ではありますが、本日は期待理論、ゴール設定理論、社会認知理論そしてプロソーシャルモチベーションではモチベーションのメカニズムを説明しながらも私たちのモチベーションはどこに向かっているのかをうまく説明してくれています。

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それでは1960年代にブルーム氏によって提唱されたのが期待理論です。

人は合理的に意思決定をする一方で、その意思決定・行動はその人の認知に規定される

とされています。そして人の動機は、その人が事前に認知・予測する「期待」「誘導性」「手段性」の3つに影響を受けることがわかっています。

ここではコミットに対する成功の成果を「期待」といい、その結果から予測される見返りを「誘導性」といいます。つまり「期待」×「誘導性」が高ければ高いほど行動のコミットメントは高まるのです。しかしそこには「手段性」が関係してきます。

例えば完全歩合制であれば「手段性が高く」モチベーションは高くなり、反対に完全固定給であれば「手段性は低く」モチベーションは高まりにくいと考えられています。したがってこの理論は、外発的動機を端的に表している理論ということができます。

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では次にハウス氏が1970年代に提唱したゴール設定理論をみていきましょう。この理論は期待理論を前提としながら、「ゴール・目標の設定」をモチベーションの基礎として加えたものです。期待理論を少し補足してくれていると考えることができます。ゴール設定理論では、

人は、自身の目的を実現するために働く意識をもつ(命題①)

と考えられています。したがってゴールが不明瞭かつ漠然としていれば行動へのモチベーションは低くなるのです。反対にゴールが具体的かつ明瞭であれば行動へのモチベーションは高まるとされています。また

人は、成果に対してフィードバックを受けることで、自分の成果を正確に認知し、満足度を高め、より高いゴール設定行う(命題②)

とも考えられています。これは具体的なパフォーマンス→パフォーマンスのフィードバックと認知→より高い目標設定といった好サイクルを生み出すことができるのです。

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同時期にバンデュラー氏が提唱したのは社会認知理論です。この理論も期待理論を前提としていますが、「自己効力感」をモチベーションの基礎として加えたものになります。

人は自己効力感が高ければ高いほど、「自分はもっとできる」と高いモチベーションを発揮する

ことを前提に考えられているのです。つまり自己効力感が影響を受けるものとして4つのチップスが影響してきます。

 

過去の自分の行動成果の認知:上のフィードバックの認知

代理経験:自分と近しい能力の人が成功すれば自分も成功できると思うこと(逆も然り)

社会的説得:相手からのポジティブな発言から自己効力感は生じる

生理的状態:精神状態や生理的不安は自己効力感を下げやすい

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最後にもっとも新しいモチベーションの種類であると考えられている、プロソーシャルモチベーション(PSM)を見ていきましょう。プロモーシャモチベーションとは端的に、

他者視点のモチベーション

ということができます。このモチベーションでは、関心が自分だけでなく他者にも向いており、他人に貢献することでモチベーションを見出すとされています。

これは社会貢献のような全体的なものだけでなく、顧客視点や取引先視点、同僚の視点と近いモノも当てはまります。つまり自分が中心にいるのではなく、他者と自分の境界線をなくした集団での考え方になります。

この考え方は外発的モチベーションとは反対の考えられからであるということができます。誰かの役に立つために自分は存在しているといった、内発的モチベーションの一種であると考えられています。

 

以上大まかなモチベーションの歴史をご紹介いたしました。モチベーションがどのような軌跡をたどって進化してきているのを感じていただけたでしょうか?一概にモチベーションといっても様々な考えられ方があることを知っていただけたと思います。それではこのモチベーションがどのように活かされているのかを見ていきたいと思います。次からは概念だけを学んでいくのではなく、実践方法としての考え方を見ていきたいと思います。ぜひ楽しみにしていてください。

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次回は”これからのリーダーシップ”をテーマに見ていきたいと思います。この連載はFacebookページ「毎日ビジトピ(@mainichibiztopi)」で更新のお知らせをしていきます。「この掲載が役に立った!!」という人はぜひいいねコメントシェアをしてください。またこのFacebook上でフォローしていただけると、更新通知が届きますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

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