今私たちが学ぶべきは論理的思考ではなく、自分・相手の感情がどのように動いているかを知るべきです
人は感情の生き物です。感情は認知に影響を与え、人・組織の行動に影響を与えます。
ここ数十年ビジネスにおいて重要なことは、論理的思考であると考えられてきました。なぜでしょうか?答えは効率化における生産性の向上が優先順位一番と考えられてきたからです。
確かにマス生産の時代はこれが正解でした。多くのビジネスマンは感情を廃し、いかにシステマティック、つまり機械的に考え・動くことができるかが求められてきました。
しかし時代は今大きく変わりつつあります。効率化などが求められる一方で、私たちは人間が本来持つクリエイティビティが必要になってきているのです。それはAIやロボットなどの台頭により、人間の論理的能力がAIやロボットに及ばないことがわかっているからです。
つまり私たちはより人間らしい思考が求められてきます。そしてそれを実現させるには、私たち自分たちのことをより深く知っていかなくてはいけません。「なぜ人はこのように考え、動くのか?」「なぜ私たちは頭では理解していながらも、違う行動をとってしまうのか?」
-ads-
このTOPIC SELECTIONでは「感情」に焦点を当てて、知識を深化させていきます。人間ほど複雑な感情を持った動物は存在しません。つまり感情を理解することが、私たち人間を理解することとなるのです。早速見ていきましょう!!
<感情の種類>
感情と言ってもそこには様々な種類があります。個人に起因するものもあれば、外部からの刺激、または組織に属することでの感情の刺激もあります。ここでは代表される3つの感情の種類を紹介します
■分離感情(個人)
「怒り」「喜び」「憎しみ」「恐れ」「嫉妬」「驚き」「悲しみ」「幸福」「ねたみ」「いらつき」などは、私たちが一般的に感情と呼ぶものに分類されます。この感情は外部刺激で引き起こされ、短い期間で収まりやすい傾向にあります。これを説明しているのが感情イベント理論です。
感情イベント理論では、感情は外部刺激から始まると考えられています。一般的にポジティブな刺激はポジティブな感情を、ネガティブな刺激はネガティブな感情を誘発します。またネガティブな刺激はポジティブな刺激と比べ、5倍人の感情に影響を与えることがわかっています。
例えば2種類の映画を見たとします。一つは恋愛もののハッピーエンド型。もう一つはホラー系のバッドエンド型です。皆さんも経験したことがあると思いますが、どちらが後にまで印象に残っていますか?おそらく後者の方は帰宅後も、怖いイメージがつきまとうと思います。
つまり感情は操作できるのです。ポジティブな感情を残したければ良い印象を相手に伝えます。反対にネガティブな感情を相手にはじめに与えてしまうと、その感情はなかなか消えにくいものになるのです。
■帰属感情(個人)
人は「感情の個性」をもっていて、ある程度安定的に一人一人が持つ特質であるとされています。例えば「彼女は常にポジティブな人だ」などが代表的な例です。人間を2つの種類に分けるとするならば、ポジティブな人とネガティブな人に分けることができます。彼らの特徴として、
・ポジティブ感情:様々なことを肯定的に受け止めがちな個性
・ネガティブ感情:様々なことを否定的に受け止めがちな個性
ということができます。これを認知評価理論に当てはめてみましょう。認知評価理論では、同じ外部刺激でも人によって認知の評価が異なることがわかっています。同じ体験をしているにも関わらず、人によっては考え方が違うのは貴族感情が一人一人違うからなのです。
また人は分離感情を何度も経験すると帰属感情に反映されていきます。これは双子の兄弟が幼少期はほとんどの時間を一緒に過ごすため、彼らの思考や仕草がシンクロしますが、お互いが独立して生活を始めると、徐々にシンクロがなくなってくるのと同じ考え方です。
これを整理してみると、下記のような循環プロセスとして考えられます。
認知評価⇒感情体験⇒帰属感情⇒認知評価 (循環プロセス)
ではポジティブな感情とネガティブな感情どちらが有利なのでしょうか?実はどちらが有利という訳ではありません。むしろビジネスにはどちらのタイプもいなければ前に進めないのです。
以下ポジティブな感情の利点とネガティブな感情の利点を見て見ましょう。要はバランスが大切なのです。
・ポジティブな感情の利点
- 仕事への満足度
- 態度:他者を助けたり、協力に積極的
- 組織パフォーマンス
- モチベーション:自己効力感が働く
- アスピレーション:目標の高さに影響
- 知の探索:より大胆で新奇性の高いアイデアを求めるのに影響
・ネガティブな感情の利点
- 満足:自分が今見ている認知の範囲・世界は狭い
→自分が探求したいことをいつまでも追い求めることができる
- 知の深化:正確でミスのない分析的な修正・改善に影響
■ムード(組織)
組織・職場は人の集合体であり、つまり個々の感情の集合体(=ムード)であると考えることができます。そして比較的安定して職場に定着します。これは良い意味でも悪い意味でも相互に影響し合うという意味です。
この三者が互いに深く影響しあうことをアフェクトと呼びます。このムードは感情の伝播とも考えることができます。感情伝播とは、周囲からポジティブ(ネガティブ)な感情表現を刺激された場合、人はポジティブ(ネガティブ)な感情を抱くといった意味です。
このムードは物理的な言語表現(表情・声のトーン・身振り手振り・体の接触・対話者との物理的な距離)に影響を与えます。つまり感情は近くにしか伝播しない傾向にあります。したがって感情のマネジメントは企業トップだけではなく、現場リーダーにこそ重要な仕事として考えられます。
-ads-
以上「私たちの感情にはどのようなものがあるのか?」見ていただきました。「なんで人は同じものを見ているのに違った考え方をするのだろう?」といった疑問が解決されたかもしれません。
次回は、EQと呼ばれる感情インテリジェンスについて見ていきたいと思います。様々なビジネス書で「EQの高い人が成功する」と言われていますがそれは何故なのでしょうか?それを深化させていきたいと思います。
この連載はFacebookページ「毎日ビジトピ(@mainichibiztopi)」で更新のお知らせをしていきます。この掲載が「役に立った」「面白かった」という人はぜひ「いいね」や「コメント」、「シェア」をしてみてください。また毎日ビジトピをFacebook上でフォローしていただけると、更新通知が届きますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
※毎日ビジトピとは?
3分で読める最新のビジネストピックを毎日お届け。様々な観点からの記事を掲載しているので、幅広く役立つ知識を身につけることができます。またインタラクティブな交流も目指しているので、ご興味のある方は専用の問い合わせフォームかFacebookのコメント欄にお気軽にメッセージしてください。
!!NEW!!
Twitterを始めました。Twitterでは過去のブログ記事のまとめたものや、今の関心ごとを発信したもの、人の面白そうな記事をリツイートしたりしています。その中にはみなさんの興味を引くものも含まれているかもしれません。ぜひ毎日ビジトピ(@MainichiBizTopi)で検索してみてください:)
“今私たちが学ぶべきは論理的思考ではなく、自分・相手の感情がどのように動いているかを知るべきです” に対して1件のコメントがあります。
この投稿はコメントできません。