まとめ -リーダーシップ-

本日のテーマは、まとめ -リーダーシップ– で最終回です。

全7回にわたり、リーダーシップについてみなさんと深化させてきました。ここではダイジェスト版として全体の振り返りと私が考えるリーダーシップを語る上で、大切なことをかいつまんでまとめていきます。

初めてこの記事を読んだという人は、下記に過去記事のリンクがあるので、ぜひ参考にしてください。

それでは早速、全7回で私たちがリーダーシップの何について学んできたかを振り返ってみましょう。

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<第1回:リーダーシップとは何か

他者に対して変化・影響を及ぼし、動機づけ与えること (リーダーシップの定義)

誰かに影響を与え、行動を変えるところまでがリーダーシップの役割です。リーダーシップではその振る舞い自体が求められるのではなく、振る舞いによって相手の行動を変化させた結果が求められるのです。

ここで整理しておきたいのがリーダーとリーダーシップの違いです。大きな違いはリーダーは人そのものを指す、ハードの部分です。一方リーダーシップは素質や能力を指す、ソフトの部分です。確かにリーダーにはカリスマ性と呼ばれるものが必要とされる部分が多くあります。しかし実はリーダーシップ自体は、その人に特別な何かがなくても発揮できるのです。

むしろリーダーシップは誰もが発揮することを期待されるものに今はシフトしてきているのです。現にAmazonやP&Gの求人要項では、社員全員がリーダーシップを発揮することが求められています。安心してください、リーダーシップは先天性なものではなく鍛えることができます。

 

第2回:リーダーシップの歴史(前編)

  • リーダーの「個性(Trait)」の理論 (1940~)

この時代リーダーを務める人は、他の人と比べて特異でユニークな資質・人格があることが前提でした。いわゆる先天性のカリスマを求められていた時代です。

  1. リーダーシップエマージェンス:この人がリーダーだと事前発生するリーダーシップ
  2. リーダーシップエフェクティブネス:役職などのように、すでにリーダーが決まっている

 

  • リーダーの「行動(Behavior)」の理論 (1960~ )

リーダーシップ行動の定量化を定めることで、望ましいリーダーシップ行動を検証する時代です。

そこではLeader Behavior Description Questionnaire(LBDQ)と言ったような、リーダーが期待される行動の定量化されていました。マス生産のリーダーシップとも呼ばれるくらいの、個性の時代とは正反対のリーダーシップ像です。

 

  • コンティンジェンシー理論 (1960・70~)

コンティンジェンシーとは条件と言った意味で、リーダーの個性・行動の有効性はときどきの状況・条件に帰属するといった理論です。有効な理論として多くの研究されましたが、条件の複雑・多様性に個性・行動のスタイルが限定されてしまうことからアカデミックの部分では浸透しきれないといった問題がありました。

 

  • リーダー・メンバー・エクスチェンジ(LMX) (1970・80~)

リーダーとメンバーの心理的な交換・契約関係から生まれてきたリーダーシップです。今までの理論では、ある個性・行動スタイルを持つリーダーは、そのスタイルがメンバーに同じように影響を与え・関係性を築き上げることが期待されていました。

しかしLMX理論では、リーダー=メンバーの関係を暗黙の交換・契約関係とみなすことで成り立っています。つまりリーダーはあるメンバーに業務・権限を与え、リーダーはメンバーに一定のパフォーマンスを期待し、報酬・評価を決定する方法です。(今行われているリーダーシップに一番近いものがあります)

 

<第3回:リーダーシップの歴史(後編)

  • トランスフォーメーショナル・リーダーシップ(1980・90~) バーナード・バス

トランスフォーメーショナル・リーダシップ(TFL)×トランザクショナル・リーダーシップ(TSL)

 

TSL理論とは、メンバーを考察し、自己意思を重んじる心理的な取引・交換として向き合うことができるリーダーシップの形です。

「管理」の側面を有しますが、状況に応じたフレキシブルな報酬、例外的な管理を可能にしています。したがって、やり方が違っても成果を上げていれば直接的な指示は避ける傾向にあるスタイルで、今までのパワープレーなリーダーとは異なります。

 

TFL理論とは、ビジョン啓蒙にフォーカスしたリーダーシップの形です。TFL理論で共通して見られる3つのキーワードがあります。それはカリスマ・知的刺激・個人重視です。

このTSLとTFLは相互補完関係にあります。(定量化:Multifactor Leadership Questionnaire)結果としてはTFLがリーダーシップとの関係性が強く、今後も注目すべき理論であることは確かですが、今のリーダーシップを発揮している人を見れば両者がバランスよくできている人物が多いのではないかと見受けられます。

 

  • シェアード・リーダーシップ (2000~)

従来のリーダーシップ理論は、グループにおける特定の一人がリーダーシップを執るという形が常でした。しかしSL理論ではグループ内の複数人、時には全員がリーダーシップを執ることが重要であると考えられています。

 

現在のビジネスにおいて、新しい知を生み出すことが重要(新しい知=既知の知×既知の知)とされている中で、一人のリーダーが全てを生み出したり、網羅したり、解決したりすることは不可能です。

そこで全員がリーダーシップを発揮する必要性があれば当事者意識を生み、積極的に知の交換が行われると考えられた結果です。

 

 

第4回:これからのリーダーシップ(完璧な人間などいない)

結論から申し上げます。これからのリーダーシップに必要なものは「SL×TFL」の組み合わせです。

「チームのメンバー全員がビジョンを持って、全員がリーダーシップを執りながら、互いに啓蒙し合い、知識・意見を交換する姿」

リーダーシップ理論の境地ともいうことができるかもしれませんが、「自分のビジョンは何か?」「自分は何者で、何をして生きていくのか?」を全員が示すことが求められているのです。

 

 

このリーダーシップ像において言えることは、リーダーは完璧である必要がないということです。どういう意味でしょうか?過去のリーダーシップ像から考えていきましょう。

今までのリーダーは高身長・筋肉質・ジェネラリスト・男性・カリスマ性エネルギッシュ・完璧主義と言ったスーパーヒーローのような人物像として考えられてきました。実際にアメリカでのリーダーの傾向値を調べたところ、この期待値に当てはまっている人がほとんどだったのです。これをリーダー1.0とします。

今新しい波、リーダー2.0がきています。それがTFL×SLの形なのです。このリーダーシップには今までリーダーに必要とされたいた以上の期待ちはあまり重要ではありません。むしろその逆で弱さを持っていることです。

人は完璧ではありません。昔のリーダーは弱さを隠していました。しかしそこからほころびが生じてきていたことも事実です。リーダー2.0では弱さを隠す必要はありません。なぜなら自分の弱さは他の誰かの強みで補えば良いのです。つまり自分が弱いポイントは、相手への譲れば良いのです。プロジェクトごとにリーダーが変わる、Googleの体制は非常に的をえているということです。

 

 

第5回:リーダーシップを鍛える “5E モデル”

■リーダーシップ 5E モデルl

  • Envisions(ビジョンを描く):目的の設定、目的が無ければ力が散漫し良い結果を実現できない
  • Engages(巻き込む):ビジョンの共有、目的は?なぜする不必要があるのか?
  • Energizes(活性化する):自発的な行動を促す、個々人のモチベーションを高める
  • Enables(可能にする):達成を邪魔する要因を探る
  • Executes(実行する):目的を達成するために、書き込み・活性化し・可能にするを何度も繰り返す

 

 

これ実はある昔話にも全く同じお話があるのにお気づきでしょうか?そう、桃太郎です。

桃太郎は鬼を退治して平和な村を取り戻すビジョンを描きました。(Envisions

そして猿・犬・雉をきびだんごで巻き込み、活性化させます。(Engages・Energizes

鬼ヶ島に到着後、雉は敵情観察、猿は戦略構想、犬は実行役としてそれぞれの役割分担を行い鬼退治を可能にさせます。(Enables・Eneables

この3匹の活躍と桃太郎によって鬼退治を実行することができたのです。(Executes)まさに桃太郎はリーダーシップ “5E モデル”の通りだったのです。

 

 

 

第6回:

■リーダーシップはメンバーの成熟度に合わせる(組織編)

成熟度とは、やる気、自信、状況(技術・知識レベル)、リーダーに従う能力や意識のことを指します。成熟度は心理的成熟度(達成意欲・自信)と職務的成熟度(知識、スキル、経験)の二つによって分けられます。

チームは大きく4つの成熟度レベルに分けることができます。それが①心理的成熟度↑・職務的成熟度↓ ②心理的成熟度↓・職務的成熟度↓ ③心理的成熟度↓・職務的成熟度↑ ④心理的成熟度↑・職務的成熟度↑です。それではこの4つのレベルにはどのようなリーダーシップの形が最適なのでしょうか?

 

 

全てのチームは委任型を目指さなくてはいけません。例えば委任型でないチームに、難しいタスクを自分たちの力で解決させようとしても難しい話でしょう。今自分たちのチームにはスキルを高めなければいけないのか?それとも持ちネーションを高めなければいけないのか?リーダーはこのことを考えていかなくてはいけません。

その上で各レベルに応じて必要なリーダーシップの形を考えていきます。

 

  • 指示型リーダーシップ:指示することで目的・手段を明確化させる→TSL理論

 

  • 説得型リ-ダーシップ:心理的な成熟度が低いため、指示だけでは動かない

□目的を理解させることが必要→LMX理論

□心理的成熟度をあげるコーチングが有効的

 

  • 参加型リーダーシップ:意見を聞くことで不安・不満を理解し、ゴールの道筋を考える→TFL理論

□支援される安心感と自信が選択した責任感が心理的成熟度を上げる

 

  • 委任型リーダーシップ:ゴールについて話し合うことができ、プロセスを任せることで信頼関係がうまれ、創意工夫を行いやすい環境になる→TFL理論

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以上リーダーシップのまとめ回になります。いかがでしたか?リーダーシップに一つの答えなどないということがわかっていただけましたか?

そしていまいちリーダーシップを発揮する自信がなかった人も、リーダーシップは後から鍛えることができることを知って安心されたのではないでしょうか?

ちなみに私がリーダーシップについて興味を持ったのはある1冊の本との出会いでした。この本はP&G入社するときにもらえる本なのですが、ストレングスファインダーという、自分にあった強みをインターネット上で診断できるサービスが含まれているかなりお得な本です。

その本とは『ストレングスリーダーシップ』(著:トム・ラス&バリー・コンチー)です。少しぶ厚めの本ですが、それだけ価値のある本だと思います。読んだことない人は是非この機会に読んでみてください。下記Amazonリンクからご購入いただけます。

 

 

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